青葉市子さん「孤独の先で共鳴したい」 思い浮かぶ祖母の存在

有料記事わたしのみっつ

聞き手・平岡春人
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 クラシックギターをつま弾き、空気に溶け込むように歌う音楽家の青葉市子さん。高い詩性と静謐(せいひつ)な演奏で、おとぎ話のような唯一無二の世界へ観客を導きます。世界各地から支持を集める青葉さんが、今の自分を形作る「みっつ」を話します。

青葉市子さんの「みっつ」

①祖母②素潜り③音楽

時間を操作できるなら同級生になりたい

 家電から漏れる音を、延々と聞いている子どもでした。氷ができる「ガコン」という音を楽しみに、冷蔵庫に耳をくっつけていた。

 3歳の頃、両親が赤いトイピアノを買ってくれました。最初の友達です。テレビ番組や家電の音に合わせて弾いていました。

 《京都育ち。けれど夏休みや冬休みは必ず、東京にある母方の実家で過ごした》

 母方の祖母が大好きです。裁縫の仕事をしていて、布の切れ端と糸で何でも作ってくれた。

 祖母はとにかく自分に厳しい。たとえば、誰が見ても素敵な編み物を仕上げたのに、納得がいかなかったのか、ほどいて一からやり直す。料理の最中、「買い忘れた」と言ったと思えば、自転車を走らせて、大きなカボチャを買って帰ってくる。たぶん、カボチャがなくても料理は成立しました。

 作り上げるために、へこたれない精神を持っている人です。そんな祖母の背中を、今も追いかけています。時間を操作できるなら、祖母の学生時代の同級生になりたい。

 《自身の音楽制作の姿勢にも、祖母の影響がある》

 今、スタジオにこもって新作…

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