目玉政策の財源として狙われる雇用保険料 なし崩し的に使わず説明を

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記者解説 経済部・楢崎貴司

 4月から新年度が始まり、国の予算に基づいて様々な事業が行われている。なかでも身近なものが医療や介護、年金といった社会保険だ。私たちや会社などが納めた保険料や税金をもとに、給付金やサービスが提供されている。

 社会保険には働く人のセーフティーネット(安全網)の役割を果たす雇用保険制度もある。支出の規模は大きい。国の2024年度の当初予算でみると3兆2719億円。主な内訳は失業給付が約1兆2700億円、育児休業給付が約8500億円などだ。

 保険事業の内容は大きく三つに分けられる。失業者が新しい仕事に就くまでの生活費などを出す「失業給付」、雇用安定や能力開発を目的とした「二事業」、育児のために仕事を休むと支払われる「育児休業給付」だ。

 会社などの事業主は各種の届け出や保険料を納める義務を負い、事実上の強制加入となっている。会社が対応するので私たちが雇用保険について意識する機会はあまりない。

ポイント

 失業者らを支援する雇用保険制度はセーフティーネットとしての役割が高まっている。「年収の壁」への対策など政権の目玉政策に、保険料がなし崩し的に使われている。保険料は引き上げ予定で、国は負担と受益の関係についてきちんと説明すべきだ。

 パートなど非正規雇用につい…

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