学童の利用者2.5倍の新施策 待機はゼロでも保育規模は大集団に

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小林未来
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どうする?埼玉の学童④

 小学生が放課後を過ごす放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童数は、埼玉県東京都に次いで全国ワースト2位。学童に入れず保護者が仕事を辞めざるを得なくなるケースもあり、待機児童問題は「小1の壁」の一つとなっている。

 特にさいたま市では、制度が整っていなかった時代に保護者が「学童」をつくり、その後にNPOを設立して市から業務委託を受けて運営している学童が多い。こうした学童では、財務管理や職員採用といった実務を保護者が担うことがあり、保護者の負担の大きさも課題とされてきた。

 打開策はあるのか。さいたま市で今年度始まったモデル事業を取材した。

「定員」なくして全員受け入れ

 保護者や現場へのしわ寄せはもう限界。そんな状況を打開するため、さいたま市は今年度、モデル事業を四つの校区で始めた。

 「定員」の概念をなくし、希望するすべての児童を校内にある公設の学童で受け入れる、というものだ。民間の事業者に施設の増設などを促してきたこれまでの施策と、考え方自体が異なる取り組みだ。

 「この焼きいも、おいしい!」「スイートポテトみたいだよね!」

 4月下旬午後5時過ぎ。市立鈴谷小学校の「学童」でおやつタイムが始まった。残っていた児童約40人が配られたおやつを食べた。前後の時間は宿題をしたり、カードゲームで遊んだり。保護者の迎えが来るまで自由に過ごす。

全国でも待機児童数の多い状態が続いているさいたま市が、待機児童を減らすための新たな施策を始めました。記事後半では、市の取り組みや既存の民間事業者の懸念を取り上げます。

 大きく変わったのは、利用す…

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