石炭廃止目標に「政策に大きな変更の必要ない」 経産省の主張の背景

有料記事気候変動を考える

多鹿ちなみ 市野塊 中島嘉克
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 4月30日夜に閉幕した主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合では、石炭火力の廃止に向けた動きがさらに強まった。日本政府や電力業界からは「電力の安定供給に必要」などの声が上がるが、いつまで日本の説明が通用するのかは見通せない。

 斎藤健・経済産業相は会合後の会見で合意を「脱炭素とエネルギー安全保障、両面のバランスの取れた成果が得られたんじゃないかと認識している」と評価した。

 会合の共同声明では、「排出削減対策のない石炭火力」の廃止年限を「2030年代前半あるいは産業革命前からの気温上昇を1.5度までに抑えられる時間軸」とした。

 「対策のない施設」の定義について、経産省は「各国合意したものはない」と説明。実証実験を進める石炭とアンモニアの混焼や、発電効率を高めて排出を減らす「高効率石炭火力」について、「(対策を講じた施設に)入ると理解している」との立場だ。

 廃止年限として盛り込まれた「気温上昇を1.5度までに抑えられる時間軸」についても、ある経産省幹部は「(日本の目指す政策から)大きな変更は必要なく、現実的にトランジション(移行)を進めよう、ということだ」と受け止める。

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