「なよなよした声で憲法9条教えられる?」偏見と闘った女性憲法学者

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聞き手 編集委員・高橋純子 同・豊秀一
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 「女性のなよなよした声で憲法9条を教えられますか?」。そんな偏見としたたかに闘い、女性憲法学者の先駆けとして活躍した辻村みよ子さん。家族やジェンダー平等の問題にも長く取り組み、いまは医学部入試における女性差別対策弁護団に名を連ねる。辻村さん、そのエネルギーはどこから湧いてくるのですか?

ぶつかった「どうして女性が?」の壁

 ――一橋大の法学部に入学されたのは1968年。160人中女性は2人だけだったとか。

 「『女性がどうして法学部に?』とよく聞かれました」

 ――「どうして」だったのですか?

 「生後6カ月で親類の養女となり、高校卒業までずっと広島市で育ちました。街のあちこちに原爆の爪あとが残り、家にはガラスの破片が突き刺さった桐(きり)たんすがあって、家族との日常会話にも8月6日のことが出てくる。大の広島カープファンだった父と政治談議に花を咲かせるうち、平和と憲法のために尽くしたい、研究者か弁護士、でなければジャーナリストになると心に決めていました」

 「養女だと告げられたのは18歳の時。実父は東京都立大の物理学教授でしたから、東京の家で育っていたらきっと理系の道を歩んでいたでしょう。ある種の運命を感じます」

 ――しかし女性憲法学者は当時ほとんどいない。なかなか過酷な「運命」だったのでは?

 「何度も言われました。『女性は憲法に向かない』と」

 ――はて。それはなぜ?

 「女には憲法=天下国家を論…

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