少年団は半減、水泳は1、2年でやめる? 進む子どものスポーツ離れ

【遊ばない子どもたち】

 遊びのような運動も含めて、体をほとんど動かさない子どもや、スポーツをしない子どもが増え続けている。新型コロナウイルスの感染対策による行動制限がなくなったあとも、その傾向が続いているというデータもある。こどもの日に合わせて、現状を探った。

 子どもの習い事の定番である水泳での変化を、日本水泳連盟の丸笹公一郎・常務理事は感じている。以前より短期間でスクールをやめる例が増えているという。これまでは、5歳や小学校1年で水泳を習い始めると、4年ほどかけて4泳法(クロール、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎ)を覚えるまで通い続けていた。しかし、近年は最低限学校の授業で泳げれば良いと、1、2年でクロールを身につけるとやめる例が多くなっているという。

 丸笹常務理事は「習い事の掛け持ちが増えた半面、『選別』も進んでいる。いかに水泳を続けてもらうかが課題だ」。

 日本スポーツ協会(JSPO)によると、1962年創設のスポーツ少年団の登録者数は、86年の約112万人をピークに右肩下がりで、現在は約54万人と半減した。少子化のペースを上回る減少率という。

 スポーツ少年団は、全国に約2万6千団体あり、主に小学生が活動する。軟式野球、剣道、バレーボール、サッカー、ホッケーなどのスポーツを中心に約60種類の活動をしている。

 JSPOの担当者によると、「子どものスポーツ離れなのか、スポーツ少年団離れなのかは、まだ把握できていない」。

 減少に歯止めをかけるため、「勝利至上主義を否定し、運動(遊び)から得られる『楽しさ』をジュニア、ユースに提供する」という方向性を打ち出した。

 「親がスポーツで楽しい経験をしていれば、その子にもスポーツを勧めるかもしれない。暴力を受けていれば、そうはならない」。好循環を生むための改革を進めるという。

 日本バレーボール協会の担当者は「バレーだけ減っているわけではないので、もっと大きな問題だと思う」。バレーに親しむ子の割合は、2011年ごろに下げ止まり、その後は増加傾向だ。認知度向上に力を入れている。男子代表主将の石川祐希ら代表選手たちの昨年のテレビ出演本数は前年の4倍ほどになった。選手たち個人にも、SNSを通じて積極的に発信することを推奨している。

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体を動かす遊びやスポーツをしない子どもが増えています。どんな背景事情があるのか、探ります。お子さんや保護者らの体験談やご意見をt-sports-dept@asahi.comメールするまでお寄せください…

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