現職町長を逮捕 町発注工事で予定価格を漏らした疑い 福島県石川町

波多野陽 酒本友紀子
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 町発注工事の予定価格を町内の業者に漏らして落札させたとして、福島県警は30日、同県石川町長の塩田金次郎容疑者(76)を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の容疑で逮捕して発表した。工事を落札した町内の「志賀建設」の元社員の関根徳夫(69)、元役員の添田保雄(63)の2容疑者も公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕した。

 県警は、3人の認否を明らかにしていない。県警捜査2課などによると、塩田容疑者は2022年9月の町道改良工事の入札で、当時同社に在籍していた関根、添田の両容疑者に価格を伝え、同社に1369万5千円で工事を落札させた疑いがある。

 塩田容疑者はエアポンプ製造会社の社長を務める傍ら、1987年から町議に。95年からは自民県議を4期務めた。2018年、町長に初当選。22年の前回選では、過去に公職選挙法違反(公職の候補者等の寄付の禁止)と受託収賄罪でそれぞれ有罪となった元職を破って、再選を果たした。

 県内の現職首長の逮捕は、21年に当時の会津美里町長が官製談合防止法違反容疑などで逮捕されて以来となる。

 町役場では30日、首藤剛太郎副町長が記者会見し、町長の逮捕を「町民や関係者に心配や迷惑をかけたことを謝罪する」とわびた。塩田容疑者と連絡が取れないため、町長を続けるかどうかの意向や、事件についての確認ができていないと説明した。

 問題になったのは長さ106メートルの町道改良工事の指名競争入札で、志賀建設を含めて条件を満たした町内の3社が選ばれて入札したという。

 首藤副町長は、塩田容疑者について、「特定の業者を入れろなどと言われたことはなく、公平公正だったと思う」と話した。

 町内の70代女性は「様々な会合で顔を見る、親しみのある町長だった。悪い人とは思えない」と話した。一方、町に住む自営業の男性には驚きはなかったといい、「小さな町では様々な頼み事がある。以前も町長が逮捕されて、クリーンな町だとの誇りは持てない。誰かが刷新して欲しい」と話した。(波多野陽、酒本友紀子)

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