100m?それとも70m? 東大寺東塔の高さ、長年の論争に決着

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今井邦彦
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 世界遺産東大寺奈良市)にあった創建当初の東塔は、高さ約70メートルだったことがわかった。奈良文化財研究所(奈文研)が25日発表した。並び立つ西塔とともに約100メートルとする説もあったが、文献調査から結論づけ、復元図も公表した。

 東大寺では、東西二つの塔が大仏殿南側に764年ごろまでに完成。西塔は934年に落雷で焼失、東塔は1180年の平家による南都焼き打ちで失われた。東塔は1223年に96メートルの高さで再建されたが、1362年に落雷で再び焼失。現在は基壇の跡だけが残る。

 奈文研は寺から委託を受け、2018年から東塔の復元研究を進めてきた。高さの根拠となる古文書の記述は「23丈」(約70メートル)と、「33丈」(約100メートル)の2通りあるが、原史料の「大仏殿碑文」(1180年焼失)には23丈と書かれていたとみられ、33丈説は江戸時代に不正確な別の文献を元に広まったと判明した。

 復元図の制作では、2015…

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    今井邦彦
    (朝日新聞記者=歴史、考古学)
    2024年4月25日18時54分 投稿
    【視点】

    奈良文化財研究所といえば、平城宮跡や飛鳥・藤原京の遺跡を発掘調査しているイメージが強く、考古学の研究所と思っている方が多いかもしれません。しかしこれらの遺跡では文字史料である木簡(文字の書かれた木の札)が多数出土し、その解読も大変な仕事。そ

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