事故の海自ヘリ、訓練で「隠密」行動か 位置システム最初から使わず

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矢島大輔 里見稔
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 伊豆諸島東方の太平洋で海自ヘリ2機が墜落した事故で、事故機は当時、互いの情報を共有するシステムをあえて使用せずに飛行していたことが、政府関係者への取材でわかった。「隠密」で敵潜水艦を追尾する想定で、電波の発信をほぼ遮断して行う難易度が高い訓練の中で事故が起きた可能性がある。

 システムは「僚機間リンク」と呼ばれ、複数の哨戒ヘリが接続して通信し、標的の情報や互いの位置情報などを共有できる。異常接近したときには警報音も鳴る。

 政府関係者によると、今回の訓練は、敵の潜水艦に察知されずに追尾する想定で行われた。潜水艦は潜水中も海上にアンテナを伸ばせば通信電波を受信でき、ヘリの接近に気付く可能性があるため、事故機は護衛艦を発艦する時から僚機間リンクを切った状態で飛行していたという。

 また当時は、音波で探るソナーや、相手に気付かれずに使える磁気探知などを使って潜水艦を探していた可能性があるという。夜間、複雑な作業を目視とレーダーに頼って行っていたとみられる。

 ただ、僚機間リンクはあくまで作戦を補助するシステムで、安全装置は付随的な機能とされている。海自は「ミッションによってつなぐことも、つながないこともある」と説明しており、夜間に目視に頼って飛行すること自体はありえるという。ヘリには他にも異常接近時に警告するシステムがあるといい、正常に作動していたかなどを調べている。

 防衛省によると、2機の哨戒…

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年4月25日6時28分 投稿
    【視点】

    訓練中に起きた事故の原因はヘリの機体か運用か複合的なものか、と昨日書きましたが、運用面の可能性を指摘する記事です。さらなる謎も浮かんできます。  「隠密」で敵潜水艦を追尾する想定だったので、悟られないよう「僚機関リンク」を切っていたというこ

    …続きを読む