「反ユダヤ」封じ込め コロンビア大学が失ったもの NYTコラム

[PR]

ミッシェル・ゴールドバーグ

 例外的と言えるほどに周到なコロンビア大学の学長、ネマト・シャフィク氏は、学内の反ユダヤ主義に関する連邦議会公聴会で悲惨な姿をさらして職を追われたハーバード大学やペンシルベニア大学の前学長らと同じ轍(てつ)を踏むつもりはないようだ。

 彼女は水曜日、この同じ公聴会で証言しながら、コロンビア大学でのパレスチナ支持活動は頑迷な反ユダヤ主義から噴き出したものだとする共和党の言い分にあっさり同意し、さらに、彼女のリーダーシップのもとコロンビア大学がどのように学生を取り締まっているかを説明した。彼女は、15人の学生が停学になり、さらに6人が謹慎処分中だと話した。ハマスやヒズボラ、イスラム聖戦への支持を表明した客員研究員のモハメド・アブドゥについては「コロンビアで働くことは二度とない」と言い、他にも数人の学部教員について調査中だと語った。シオニスト(イスラエル国家建設運動の信奉者)に断固反対の立場をとるジョセフ・マサド教授についても彼女は、自分に判断が任されていたなら終身在職権が与えられることはなかったと語った。公聴会では、マサド教授がまだ学術審査委員長かどうかについて若干の混乱があったが、シャフィク氏は、もしそうだとしても解任すると約束した(コロンビア大学はその後、彼の委員長任期は今学期末に終わる予定であることを確認した)。

 シャフィク氏は懸命に迎合し、この4時間に及ぶ尋問をほぼ無傷で乗り切った。ダメージを被ったのは、コロンビア大学が保証する学問の自由だった。

 シャフィク氏は、コロンビア…

この記事は有料記事です。残り2515文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2024年4月30日11時16分 投稿
    【視点】

    「政治家たちは、イスラエル軍が撤収した後のガザの病院で、数百もの虐殺されたパレスチナ人の遺体が発見されたことには無関心なのに、学生たちのイスラエル抗議デモをなぜここまで執拗に非難し、攻撃するの?」 InstagramやTikTokには、若

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    福田充
    (日本大学危機管理学部教授)
    2024年5月1日11時20分 投稿
    【視点】

    パレスチナ支持学生の抗議デモ、テント占拠が続いていたニューヨーク、コロンビア大学にニューヨーク市警NYPDが派遣されバリケードを超えて大規模展開を実施。そして学生たちが占拠するハミルトンホールに突入した。占拠学生たちの実力排除を開始した。こ

    …続きを読む
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

パレスチナとイスラエルの間で激しい武力衝突が起き、双方に多大な犠牲者が出ています。最新の動きをお届けします。[もっと見る]

連載ニューヨーク・タイムズ コラムニストの眼

この連載の一覧を見る