その行為に同意ありますか?性暴力被害を防ぐには、支援専門家の視点
進学、就職などで新たな環境に身を置く春。好きな人ができることもあれば、ドキドキする経験もあるかもしれない。そんな時期だからこそ、「相手を、そして自分を傷つけないために知っておくべきことがある」と清泉女学院大学の岡本かおり教授(臨床心理学)は言う。性暴力被害者の支援に長く携わってきた岡本さんに「性的同意」について聞いた。(構成・菅沼遼)
性教育の不足と自分を責める被害者
好意を持った相手と親密になりたいと思うのは、とても自然なことです。ただ、その過程で大事にしてもらいたいのが、相手の同意です。
性犯罪被害者の支援に長く携わってきて、性教育の不足を強く感じています。研究の一環で性犯罪被害者の方々にインタビューをした時、被害を周囲に言えなかったという方が多くいました。理由を尋ねると「自分が悪かったんじゃないかと思った」という答えが返ってくることがあります。
健康的な性行為はどういうものか。性行為のルールとは何か。そうしたことを学んでいないから、相手の行為が性暴力にあたるのかわからず、自分が悪かったのでは、と思ってしまう。知識を得ることで、ルールを破ったのは相手だ、自分は悪くない、と自分を責めることをやめることができる方もいます。
4人に1人が性暴力被害を経験
人は、誰もが自分の安心感、安全感を守るための「境界線」を持っています。自分の体や持ち物に関する物理的境界線、心の安定やプライバシーを守るための心理的境界線、社会の規範などの社会的境界線があるとされています。境界線を守られているから、安心して暮らすことができます。
こうした境界線を同意なく侵…
- 【提案】
【性的同意を学ぶ加害予防教育こそ学校の「生命(いのち)の安全教育」で】日本版DBS(こども性暴力防止法)が今国会で成立すると、不同意わいせつ罪でも、子どもに関する職には就業できなくなります。たとえば、学生同士の飲み会の王様ゲームで相手の同意
…続きを読む - 【視点】
学校の性教育において「性行為」について教えない「はどめ規定」というものが存在します。(はどめ規定については、朝日新聞でのこちらの記事が参考になります:https://digital.asahi.com/articles/ASRCZ3Q1FR
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