「人生はずっと修業」母の遺志継いで握るハサミ 脱線事故から19年

有料記事

石田貴子
[PR]

 乗客106人と運転士が亡くなったJR宝塚線(福知山線)脱線事故から、25日で19年になった。事故で母を亡くした男性は両親が築いた理容店を継ぎ、母の「お得意さん」の髪を整え続けている。

「電車に乗っていったほうが安全」出かけた母

 兵庫県西宮市の理容室「ヘアーサロンにしの」。一番奥の女性用のシャンプー台と椅子は、西野節香(せつか)さん(当時63)が専用で接客に使っていた「特等席」だった。

 ともに理容師の夫の道晴さん(84)と1985年に立ち上げた店。毎日午前8時半には店を開け、店の前で通勤する人たちにあいさつした。

 「モーレツ仕事人で。聞き上手というか、話させ上手というか。散髪をして気持ちも朗らかにして帰していく。母のファンの方は多かった」

 専門学校卒業後すぐに両親の店で働き始めた長男の勝善(まさよし)さん(54)を、節香さんは厳しく指導した。

 「仕事が硬い」「偉そうぶっ…

この記事は有料記事です。残り975文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら