「家裁調査官なぜいない」格差訴える市長 施設の課題抱える自治体も

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松浦新
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現場へ 家裁のリアル③

 長野県佐久市の柳田清二市長(54)は、「裁判所佐久支部の充実を求める協議会」の会長だ。3月には最高裁財務省法務省に要望してまわった。

 長野家裁佐久支部には常駐の家裁調査官がいない。事件を起こした少年や、離婚に関わる子供らなどを調べる役目だ。長野家裁の6支部のうちいないのは佐久だけ。事案によって約30キロ離れた上田支部から派遣される。

 佐久支部管内の人口は約20万人。新幹線の駅周辺での開発もあり増加傾向だ。調査官と連携する県の児童相談所が佐久市にあることも、常駐を求める理由となっている。

 最高裁事務総局は「調査官の関与が必要な事件は支障なく処理されている」という。佐久支部管内で起きた少年事件の処分を決める「審判」などは上田で取り扱う。佐久と上田との交通の便がよいとして問題はないとする。

 ただ、柳田市長らの要望に同行した大井基弘弁護士(53)は首をかしげる。裁判所職員は原則として公共交通機関で移動する。佐久と上田は新幹線だと10分程度だが、調査官が日常業務で新幹線を使うことはない。在来線は本数が少なく、乗り換え待ちによっては1時間以上かかる。

 大井弁護士は、調査官は派遣…

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