石巻市に「バイオマス発電所」 津波対策強化 地域の活性化目指す

柳沼広幸

 再生可能エネルギーとなる動植物由来の資源「バイオマス」を燃料にする「石巻ひばり野バイオマス発電所」=宮城県石巻市潮見町=が、営業運転を始めた。東日本大震災の被災地で発電し、地域の活性化に一役買いたいという。

 事業者は「石巻ひばり野バイオマスエナジー」。再生可能エネルギー開発会社「レノバ」(東京都)や東京ガス、発電事業に取り組む廃棄物処理会社「ユナイテッド計画」(秋田市)が出資した合同会社だ。

 植物由来のバイオマスを燃やして蒸気でタービンを回し、発電する仕組み。燃料は、間伐材を砕いて圧縮した木質ペレット、パーム油生産で出るパームヤシ殻で、北米や東南アジアから輸入し、年間で合計約32万トンを使う。出力は75メガワット。年間の発電量は約5億3千万キロワット時で、一般家庭約17万世帯の使用分に相当するという。

 発電所があるのは、石巻港の埠頭(ふとう)近く。東日本大震災後、大量に発生したがれきの処理に使われた県有地を同社が購入し、約8・5ヘクタールの敷地に発電設備や燃料の保管場所を整備した。津波対策で5メートルかさ上げし、蒸気タービンや発電機はさらに4メートル高く据え付けた。蒸気は水ではなく空気で冷やすタイプで、海への排水量も大幅に減らせるという。発電所では約30人が働く。

 営業運転は3月28日から。電気は東北電力グループの送配電会社「東北電力ネットワーク」(仙台市)に販売している。現地で18日にあった内覧会で、細見裕己・発電所長は「石巻の活性化に貢献したい。将来は宮城県の未利用材も燃料に活用したい」と話した。(柳沼広幸)…

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