クーデターに阻まれた起業家 それでも再起、父の言葉に背中押されて

有料記事人財@World

ヤンゴン=笠原真

 2021年2月の政変で、ミャンマーから多くの外国企業が去った。起業家の高田健太さん(34)もその一人だった。

 でも、やっぱり諦められなかった。昨年11月に最大都市ヤンゴンで「PLUS IMPACT」を立ち上げ、2度目の起業に挑戦している。ミャンマーのIT人材と日本などの企業をマッチングし、契約や給与支払いなどを請け負う雇用代行の事業で、半年間で数十人を企業につないだ。

 ミャンマー国軍によるクーデターは、今に続く混乱をもたらした。

 国軍への抗議の一環で退学する若者が続出。プログラミングを独学する人が増えたが、優秀でも就職先は少なく、キャリアが描けない。「彼らの才能が埋もれるのは世界の損失だ」と思い立った。

 父は落語家の6代目笑福亭松喬(しょきょう)さん。幼い頃、家では父の弟子が身の回りの世話をしてくれた。「サラリーマンやビジネスはドラマの世界」だった。

 古典落語を得意とする父の芸を理解できるようになったのは中学生の頃。独特の言葉遣いや聴衆を引きつける声色、絶妙な「間」。落語は好きだが、「父にはかなわないと思った」。「7代目」の期待も感じつつ、高校生の時に「進学する」と父に伝え、落語界には入らないと決めた。

初めて訪れたミャンマー 感じた魅力は

 人生を懸けて打ち込める何か…

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