息子の死亡認定と引き換えに 待ち続けた父の決断 知床観光船事故

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中沢滋人 長谷川潤 杉江隼
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 知床半島沖で小型観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没して23日で2年となる。乗客乗員26人のうち20人が犠牲となり、今も6人の行方がわかっていない。悩んだ末に、運航会社長の責任を問う訴訟に参加することを決めた家族がいる。

 北海道帯広市の男性(51)もその一人。カズワンには、当時7歳だった息子と元妻(当時42)が乗っていた。2人は今も行方不明のままだ。

 3月21日午後、かつて家族3人で暮らしていた町の役場から電話がかかってきた。

 「手続きが終わりました。残念なことですが」

 男性は静かに答えた。

 「わかりました。ありがとうございました」

 死亡届の手続きが終わったという知らせだった。

 この2年、笑えない。食事ものどを通らない。眠れない。心労から体調を崩し、仕事もできなくなった。つらいことは時間が解決してくれるという人もいる。でも、違った。

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