太陽の恵み、農業に発電に パネル下でワイン用ブドウ栽培 相模原

三木 一哉

 ソーラーパネルで太陽光発電をしながら、パネルの下でワイン用のブドウを栽培する――。相模原市緑区でブルーベリーの観光農園を営む「さがみこファーム」が、こんな事業を始めた。農業を多角化し、地域の活性化にもつなげる狙いがある。

 圏央道相模原ICから15分ほど。同市青野原地区にあるさがみこファームは、太陽光で農作物と再生可能エネルギーを同時につくる「ソーラーシェアリング」を手がけ、注目されている。

 このほど、農園の一角に太陽光発電所2基(29キロワット、11キロワット)を増設した。パネルの下では、ブルーベリーのほか、新たにワイン用のブドウ3種類を試験的に育てている。パネルの遮光率は4割程度で、ブドウの遮光栽培の研究などの実績からみて、問題なく育つという。

 生活クラブ生協神奈川、同生協東京、ファームの関連会社である発電事業者「たまエンパワー」と、計4者による取り組みで、発電した電気は農業用ハウスで自家消費するほか、余剰分は生活クラブ生協神奈川が直接買い取り、配送センター(神奈川県綾瀬市)に送電するという。発電所の設置費用830万円のうち217万円は生活クラブ生協の組合員からの寄付、210万円は生活クラブ自然エネルギー基金でまかなった。

 発電所の開設を前に、3月末には2口以上寄付した組合員を招いて完成式と苗木の植え付けを行った。

 参加した藤沢市の主婦太田明子さん(44)は「去年、ベリーガーデンの開園のイベントにも参加した。生協の呼びかけに共感して、寄付をした。ソーラーパネルは涼しげな感じ。このブドウでつくったワインをぜひ飲みたい」。横浜市の主婦鈴木慎貴子さん(47)は「原発の問題に関心があり、ソーラーシェアで電気をつくる現場を見たかった。素敵な場所で、夏のブルーベリー狩りにも来たい」と話した。

 さがみこファームの山川勇一郎社長は「将来はワイン特区の制度を利用してワイナリーも設置し、より多くの人が訪れる場所にしたい」と語る。(三木 一哉)…

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