ダム建設に揺れた地域 「幻のそば」で新たなまちづくり

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重政紀元
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 栃木県鹿沼市上(かみ)南摩(なんま)地区の里山に今月、住民が共同で運営するそば店が開業した。提供するのは、「幻」と呼ばれるほど美味の地元産のそば粉を使った商品。この地域は建設中の南摩ダムへの賛否を巡り、長年住民の意見が分かれてきた。ダム建設が進む今、特産品を看板に、新たなまちづくりを目指す。(重政紀元)

運営するのは地域住民18人

 「ようやく上南摩そばをいつでも味わってもらえる。地域の新たな特産になってほしい」

 上南摩地域に13日に開業した「スノーピーク鹿沼キャンプフィールド&スパ」。その一角にあるそば店「竜がい」で、上南摩町自治会の駒場俊雄会長(72)は笑顔を見せた。

 竜がいを経営するのは「上南摩そばネットワーク」。住民18人が共同で390万円を出資して設立した企業組合で、駒場さんが代表理事を務める。

 上南摩地区はかつて繊維などに使う産業用大麻の生産地で、ソバは大麻を収穫した後作としてつくられてきた。清らかな水流と、水はけのいい土壌などソバの栽培に適合しているという。

 使っている種は希少性の高い在来種。近距離しか飛ばないミツバチで交配しているため、独自の味を保ってきた。また山間地による昼夜の寒暖差が特有の香りと深い味を生んでいるとされる。

 住民にとって、そばはふるさとを代表する食べ物として親しまれてきた。ただ、地区にはそば料理を提供する飲食店がなく、外部の人にとっては「幻」の存在だった。

 このため、2008年に始ま…

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