「おなかすいた」避難所から届いたSOS 外国人は災害弱者なのか

有料記事能登半島地震

大滝哲彰 山本知佳 浅倉拓也

 元日の能登半島を大地震が襲い、一夜明けた2日。石川県輪島市の漁師、笹波守勝さん(58)の携帯電話が鳴った。

 「おなかすきました」

 聞き慣れた声だが、弱りきっているようだった。笹波さんの底引き網漁船に乗るインドネシア人、アデ・リザルローマンさん(32)だ。

 笹波さんは自宅が倒壊し、津波から逃れるため、高齢の母親を抱えるように山手に避難した。アデさんにもすぐ電話をした。「生きてるか」「大丈夫です」

混乱する避難所の体育館で

 技能実習生の仲間6人で近くの輪島中学校へ避難していると聞き、笹波さんは駆けつけた。数百人が身を寄せる避難所で、アデさんらは食べ物や飲料水に手をつけていなかった。「勝手に取ったら怒られる」と思ったのだという。

 日本語はあまりできない。誰かに聞くこともできず、毛布もないまま、体育館の冷たい床の上で一夜を過ごしていた。

 「助けてくれる人はいなかったのか」。笹波さんはそうも思ったが、被害の大きかった輪島の避難所は混乱し、備蓄していた物資も1日でなくなる状態だった。

労働者として迎えられた外国人は、支え合う仲間として地域に受け入れられているのでしょうか。災害弱者ではなく「助ける側」になるカギとは。能登半島地震から考えます。

 アデさんが輪島に来たのは約…

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この記事を書いた人
浅倉拓也
大阪社会部
専門・関心分野
移民、難民、外国人労働者
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