民意を直接反映できるリコール 署名偽造は「地方自治揺るがす」犯行

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高橋俊成 松島研人
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 2019年の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展に端を発した大村秀章愛知県知事への解職請求リコール)署名偽造事件をめぐり、地方自治法違反罪に問われた元県議でリコール運動団体事務局長の田中孝博被告(62)の判決公判が19日、名古屋地裁であった。大村陽一裁判長は懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。

署名は自筆が原則、偽造には3年以下の懲役・禁錮

 「住民自治の実現に不可欠な直接請求制度に対する社会の信頼を失墜させた」。この日の判決は、田中孝博被告らによる組織的なリコールの署名偽造を厳しく断じた。

 首長や議員の解職などを請求できるリコール制度は、地方自治法で定める直接請求制度の一つ。投票で選ばれた公職者に政治を任せる「間接民主制」の中で、住民の民意を直接反映できる重要な制度だ。

 総務省によると、2009~…

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    大川千寿
    (神奈川大学法学部教授)
    2024年4月19日23時34分 投稿
    【視点】

    有権者本人がいるところで本人に対し何らかの働きかけがあり、その政治的選択や行動がゆがめられるのであれば、まだ本人は避けようがあるかもしれません。しかし、本人のあずかり知らないところでリコールの署名が偽造されたとなると、本人はどうしようもない

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター長代理)
    2024年4月19日21時28分 投稿
    【視点】

    英国の学者・ブライスは著書「近代民主政治」において、地方自治を「民主主義の学校」と記しました。その地域に暮らす住民の意思を直接的に反映させやすい地方自治こそ、たしかに民主主義とは何かを学ぶ場であり、地方自治は、住民の意思と責任による「住民自

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