「震災=人口減」なのか 過去の予測と実際の人口、比べて分かった差

有料記事8がけ社会

阿部彰芳
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A-stories 8がけ社会と大災害(8)

 大規模災害は地域の状況を一変させ、住民の流出によって急激な人口減少を引き起こす。能登半島地震の被災地もいま、この問題に直面している。ただ、必ずしもすべての被災地で、人口減が加速するわけではない。東日本大震災などの被災地で、被災前に作られた将来推計人口と実際の人口を比べると、地域ごとの違いが見えてくる。

 朝日新聞は今回、市町村ごとの将来推計人口を定期的に公表している国立社会保障・人口問題研究所(社人研)のデータと、国勢調査による実際の人口を比較した。

 対象としたのは、社人研が2000年の国勢調査に基づき、03年に公表した20年の将来推計人口だ。ここには「平成の大合併」で消滅した旧市町村の将来推計人口も示されている。

 03年から20年の人口を推計すれば、全国的な少子高齢化や過疎化の進展で、多くの市町村で人口は減少に向かう。そうした前提に立つ20年の将来推計人口と、国勢調査による旧市町村ごとの20年の実際の人口を比べた。

連載「8がけ社会」

 高齢化がさらに進む2040年。社会を支える働き手はますます必要になるのに、現役世代は今の8割になる「8がけ社会」がやってきます。そんな未来を先取りする能登半島での地震は、どんな課題や教訓を示しているのでしょうか。4月14日から配信する8本の記事では、8がけ社会と大災害に焦点をあて、災害への備えや復興のあり方を考えます。

福島県沿岸 将来推計人口の9割減も

 まず、東日本大震災の東京電力福島第一原発事故により長期間の避難を余儀なくされた福島県の大熊町や浪江町、富岡町では、推計人口の1割程度となり、人口は想定から9割も減っていた。

 04年の新潟県中越地震で一時、全村避難した旧山古志村(現長岡市)も推計人口の6割程度で、新潟県で最も減少幅が大きかった。

岩手よりも減り方激しい宮城沿岸

 東日本大震災で津波被害を受…

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