薬局整備めぐり入札妨害、「アイン薬局」元社長ら3被告に有罪判決

新谷千布美
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 総合病院「KKR札幌医療センター」(札幌市豊平区)の敷地内薬局の公募をめぐり、公契約関係競売入札妨害の罪に問われた「アイン薬局」を展開する調剤薬局最大手「アインファーマシーズ」(同市白石区)元社長ら3被告の判決公判が18日、札幌地裁であった。アイン側の2被告は無罪を主張したが、井下田英樹裁判長(渡辺史朗裁判長代読)は全員に有罪判決を言い渡した。

 起訴されたのは酒井雅人・同社元社長(54)▽新山典義・同社元北海道支店長(56)▽藤井浩之・KKR元事務部長(63)の3被告。KKRは国家公務員共済組合連合会の略で藤井被告は「みなし公務員」だった。

 酒井、新山両被告には懲役6カ月執行猶予2年(求刑懲役10カ月)、藤井被告には懲役1年執行猶予3年(求刑懲役1年)が言い渡された。

 判決によると、藤井被告は2020年12月の公募の締め切り後、アイン側が提案した土地賃料が他社より安いことを新山被告に伝え、企画提案書の再提出を持ちかけた。新山被告は上司の酒井被告と共謀して賃料を高額に差し替え、公の入札の公正を害した。

 アイン側は、今回の公募は随意契約の一種で「公の入札」ではないと主張。しかし井下田裁判長は「競争入札と同趣旨の公平な競争を志向する仕組み」などとして、公の入札にあたるとした。

 また酒井被告は「犯罪という認識はなかった」などと否認していたが、藤井被告の働きかけで20年間で10億円以上賃料を引き上げさせられたこと、資料の見せ方の工夫までさせられたことから、井下田裁判長は「藤井被告が企画競争の趣旨から逸脱した提案をしており、応じることが許容されないと思い至ることはできたはずだ」と退けた。

 酒井被告の弁護人によると、控訴する方針。(新谷千布美)

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