浮世絵の二の舞い防げ 文化庁の原画保存事業、ちばてつやさんが協力

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平賀拓史 黒田健朗
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 マンガの原画やネーム(下書き)、アニメのセル画といった、作品の制作過程で生じた資料の保存実証事業に文化庁が乗り出した。世界的な日本作品ブームの陰で、国内の保存態勢が十分に整っていないことが背景にある。(平賀拓史、黒田健朗)

 3月上旬、東京都内にあるビルの一室。文化庁から委託を受けた企業のスタッフら20人近くが、マスクと手袋を着用し、「あしたのジョー」で知られるマンガ家ちばてつやさん(85)の原画に向き合っていた。封筒やファイルに整理された原画を1枚ずつ慎重に取り出し、紙の傷みや色あせ、収録場面などを、出版された単行本と突き合わせて点検。一枚一枚に番号を付け、それぞれの状態をパソコンに入力していった。色紙やメモ書きなどの、原画以外の資料もある。担当者は「今後の活用に向けての第一歩。まずはどんな資料があるのか、状態はどうなっているのか確認している」と話す。

 文化庁は2023年度、マンガ原画などを対象とした調査研究事業を始めた。同年度の予算は3400万円。ちばさんの協力を得て、保有する原画やネームなどを今年1月から3月まで調査し、リスト化した。

 文化庁は今後、調査した作品のアーカイブ化や展示など、活用の方策を検討している。今年度予算にも1億9千万円を計上しており、他のマンガ家の原画やアニメ資料にも調査を広げていく方針だという。

 事業の背景にあるのは、国際的な日本マンガやアニメの人気沸騰に追いつけていない、国内での保存の現状だ。

 「これまで国内では価値が認…

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