地域で認知症患者を見守り 靴のステッカーで身元を確認 安全に保護

小幡淳一
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 岩手県久慈市は、自宅に帰れなくなった認知症患者の早期発見や安全確保を進めるため、事前に住所などの情報を登録してもらい、目印となるステッカーを配布し、行方不明になっても速やかに身元が特定できる連絡システムの活用を始めた。

 厚生労働省の推計では、認知症の高齢者は2025年に約700万人に上り、65歳以上の5人に1人に達するという。久慈市では昨年、認知症患者がひとり歩きして行方がわからなくなったケースが6件あった。防災無線を通じ、昼夜関係なく情報提供を呼びかけているが、極寒や酷暑の季節では一刻を争うこともある。

 新システムでは家族や民生委員らが写真付きで名前や連絡先、特徴などを市地域包括支援センターに届け出る。高齢者以外も登録でき、情報は番号で整理され、患者にはこの番号が記載された5足分のステッカーが配られる。

 靴のかかと部分に貼る仕組みで、ステッカーを貼った人が困っていたり、不自然さを感じたりしたら声をかけ、警察に通報するように呼びかけている。

 情報は久慈署と共有しており、通報があればすぐに身元が判明するため、安全を確保するとともに、家族らへ連絡できる。高齢者は携帯電話を持ち歩かないケースも多く、交通安全にも役立つ光に反射する蛍光の黄色のステッカーにした。

 県内では盛岡、釜石、奥州各市や洋野町などでも同様の取り組みを行い、成果を上げているという。久慈市の担当者は「約600人の支援の対象となる市民がいる。万が一に備え、登録を考えて欲しい」としている。(小幡淳一)

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