盗まれた仏像、返してもらえた決め手 専門家が語る「防犯の第一歩」

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仙道洸 清水謙司
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 国宝の本堂などがある古刹(こさつ)・當麻寺の塔頭(たっちゅう)「念仏院」(奈良県葛城市)で盗まれた仏像が奇跡的に戻ってきた。

 13日に返還式も催され、関係者は胸をなで下ろしたが、信仰対象の仏像が盗まれるという罰当たりな事件は、昔から各地で起きては人々を悲しませてきた。仏さまは地域でどう守ればいいのだろうか。

ネットで販売、返してくれたのは

 「文化財の多い寺。防犯に対しても一定の知識を持ち、保護に努めてきたが……」

 こう振り返るのは、念仏院の川中教正住職。昨年8~9月、本堂の仏像2体を盗まれた。うち1体は、鎌倉時代のものとされる木造阿弥陀如来坐像(ざぞう)(像高38センチ)だった。

 その仏像を盗んだとして今年1月、80代の男が大阪府警に窃盗などの容疑で逮捕され、その後起訴された。

 府警などによると、男は「山…

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2024年4月17日17時30分 投稿
    【視点】

    文化財保安官が防犯指導や定期的な巡回をされていることもあって、奈良では施錠の徹底や防犯カメラの設置といった文化財を守るための防犯対策が進んでいる。この記事のような地域の歴史・文化関連の情報発信の充実が地域の文化財が抱えている課題の共通認識づ

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    清水謙司
    (朝日新聞記者=歴史・寺社文化財など)
    2024年4月17日18時5分 投稿
    【視点】

    盗難も含めて、仏像の受難は、残念なことに、今に始まった話ではありません。 神仏分離により廃仏毀釈の嵐が吹き荒れた明治時代。いくつもの仏像が寺から流出したり、ときには焼かれたり壊されたりしました。  今回、阿弥陀像が盗まれた當麻寺の塔頭寺院は

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