3年2カ月のコロナ対策まとめた記録集 長野県松本市がHPで公開

小山裕一
[PR]

 あのとき、ワクチン接種はどのように進められたのか。イベントが中止された経緯はどうだったのか――。長野県松本市は、今後「新たな感染症が発生した際、生かせるように」(臥雲義尚市長)と3年2カ月に及んだ新型コロナへの対応についてまとめた記録集を作った。だれもが読めるように今月2日から市の公式ホームページで公開している。

 記録集は約200ページに上る。新型コロナは2020年1月に国内で初めて感染者が確認された。県内では同年2月25日に当時の松本保健所管内で初の感染者が確認され、翌日に市は対策本部を作った。記録集では、感染症法上の5類になった昨年5月までの対応について、網羅的に掲載した。

 新型コロナに伴い大きな影響を受けたのが各種イベントだった。2月に88歳で亡くなった指揮者小澤征爾さんが総監督を務めたことで知られる音楽祭「セイジ・オザワ松本フェスティバル」は20、21年に中止になった。入国制限で出演者の来演が困難になったことや、ボランティアらの安全を優先したことなど、中止の理由を記したうえ、市内でほかにどんなイベントが取りやめになったのかを記録した。

 ワクチン接種も市にとって大切な業務になった。各地に設けられた接種会場のレイアウト図や接種者数の推移などについても写真入りでまとめたほか、どんな業務を企業・団体に委託したのかについても一覧にした。

 新型コロナ対策の地方自治体向けの財源として、国が創設した「地方創生臨時交付金」。市には20年度からの3年間で約64億円が国から交付され、事業規模は約90億円になった。交付金が適切に使われたかどうかが国レベルで議論になる中、市の記録集には事業の一覧表が掲載され、検証が可能になっている。

 ほかにも、小中学校の臨時休校成人式の開催判断の経緯、21年4月に市が中核市になり市保健所が設置された後の死者数や自宅療養者数、入院者数などの推移をグラフでまとめてある。

 公式ホームページ(https://www.city.matsumoto.nagano.jp/soshiki/7/131966.html別ウインドウで開きます)から見られるようにしたことについて、臥雲市長は2日の定例会見で、「医療従事者介護事業所の皆さんなど、行政担当者以外にも参考になるのではないか」と述べた。(小山裕一)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら