訴訟原告や家族への追加賠償遅れる 原告団、早期支払いを要請

滝口信之

 【福島】国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が2022年12月に決めた追加賠償について、国と東電に集団訴訟を起こした原告やその家族に対し、東電の支払いが遅れていることが15日、わかった。原告らが同日、東電に早期支払いを求める申し入れを行った際、同社が明らかにした。

 申し入れたのは、原発事故の被害者が損害賠償などを求めた生業(なりわい)訴訟の原告ら。原告らによると、世帯内に1人でも原告がいると、原告でない家族への追加賠償の支払いが遅れているという。東電は同原告団で追加賠償を申請した約1800世帯中、これまでに追加賠償を済ませたのは数十世帯と明かした。

 生業を含む7件の集団訴訟で賠償額が22年3月に確定し、原賠審は同年12月に追加賠償を決めた。東電によると3月25日現在、追加賠償対象は約148万人。約122万人から申請を受け、うち約116万人に支払いを終えた。

 支払いが遅れる理由について東電は、原告にすでに支払われている裁判での賠償額を、原賠審が決めた賠償から除く必要があり、その計算に手間取っていると説明。担当者は「生業訴訟固有の問題ではない」とし、他の集団訴訟の原告やその家族への支払いも遅れているとしたが、詳細は明かさなかった。

 東電は6月末までに原告やその家族への支払い額の計算を終え、各原告世帯への支払いを始めるとする。生業訴訟の中島孝・原告団長は「原告であるなしにかかわらず、早期支払いをお願いしたい」と訴えた。(滝口信之)…

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