柏崎刈羽原発に燃料装荷 地元同意待たず、前のめりの国・東電

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三浦惇平 多鹿ちなみ 聞き手・長橋亮文
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 東京電力ホールディングスが15日、柏崎刈羽原発7号機(新潟県)の原子炉核燃料を入れる「燃料装荷(そうか)」を始めた。再稼働に向けた準備が一歩進んだが、肝心の地元同意は見通しが立たない。それでも前のめりになるのは、国の焦りがある。

 原子力規制委員会がこの日午前、燃料装荷を承認。東電は午後5時ごろから作業に取りかかった。

 柏崎刈羽原発7号機の中心部には、大量の水で満たされた円形のプールがある。真下に原子炉が沈んでいて、核燃料を保管する隣のプールとつながっている。燃料を炉心に移すには、1体あたり10分かかるという。

 7号機には872体の燃料を入れる。過去の実績では2週間ほどかかったという。その後、圧力容器に漏れがないかや、核分裂反応を抑える役目を果たす制御棒が正常に動くかなどを点検する。

 制御棒を引き抜くと核分裂が連続しておきる臨界に達し、いつでも発電できる状態になる。再稼働に向けた準備にほかならないが、同原発の稲垣武之所長は「プラントの健全性を確かめるため」と説明。あくまで安全確認の一環だとの姿勢を強調し、「制御棒を引き抜けるかは、地元の理解があってのこと。時期は見通せていない」とする。

ある大手電力幹部「急ぐ必要ないのに」

 そもそも、地元の同意がそろう前に燃料を入れるのは異例だ。東電は中越沖地震後の2009年の再稼働時も同意前に装荷したとするが、2013年に新規制基準がつくられて以降に再稼働した他社の12基の原発はすべて、同意後に作業している。年内の再稼働を予定する中国電力島根2号機と東北電力女川2号機も、同意は得られたが、まだ燃料は入れていない。ある大手電力の幹部は言う。

 「燃料装荷は我々の感覚から…

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