競走馬「引退後は食肉」の現実、直視し動いた 「ウマ娘」に沸く業界

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 競走馬を少女に擬人化したゲーム「ウマ娘」のブームや、コロナ禍を背景としたネットによる馬券購入の増加などを受けて、競馬市場が好調だ。日本中央競馬会(JRA)の馬券売り上げは12年連続で増加、地方競馬では昨年、過去最高を記録した。その一方で、市場が活況になるほど競走馬の生産が増え、引退後の行き場は限られているという現実がある。

 国内外でアニマルウェルフェア(動物福祉)の関心が高まるなか、業界が今春、引退した競走馬のセカンドキャリアを支えようと本格的に動き始めた。

引退後の明暗

 昨年12月、東京・世田谷のJRA馬事公苑であった「引退競走馬杯(RRC)」の最終日。地方予選を勝ち上がった68頭が参加し、家族連れや競馬ファンら約1千人が集まった。

 有馬記念で優勝経験もあるブラストワンピースが登場すると、一斉にカメラが向けられた。結果は馬場馬術の部に参加した15頭中11位だったが、温かい拍手が送られた。

 ブラストワンピースは2年半前にけがで引退し、北海道苫小牧市の馬のテーマパーク「ノーザンホースパーク」に引き取られた。毎日、馬場馬術のステップなどの練習に励み、週末は来場者とふれ合う。

 世話係の山内竣太郎さん(22)は「賢くて適応能力が高い。普段は食いしん坊でいたずら好きな面もあります」。

 だが、全ての競走馬がセカンドキャリアを歩めるとは限らない。

 「この馬、潰しておいて」…

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