イランの報復攻撃、イスラエルの次の一手は 米国が懸念する「暴走」

有料記事イスラエル・パレスチナ 対立の深層

聞き手・高久潤=エルサレム
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 シリアのイラン大使館へのイスラエルによるものとみられる攻撃に対して、イランは14日、イスラエルへの報復攻撃に踏み切りました。無人機や巡航ミサイル、弾道ミサイル計350以上を使い、イランの支援を受けた勢力も、レバノンやシリアなどから攻撃に加わったとみられています。大使館への攻撃直後からイランは報復を宣言していましたが、イスラエルは今回の攻撃をどう受け止めているのか。イスラエルは今後、どう対応するのか。イスラエルの元駐カナダ大使で、外務省政策研究センター元所長のニムロド・バルカン氏に聞きました。

 ――イランの攻撃をどう評価しますか。イスラエルから見ると、この規模は想定外といえますか。

 攻撃の本当の評価は、この後のイスラエルの対応によって変わるが、現段階では抑制がきいたものだったと言えます。人的被害はほとんど出さず、おもに軍事目標を狙ったこともはっきりわかります。イランがイスラエル領土に直接攻撃できることはすでに知られており、驚くことではありません。

 イスラエルにとっての最大の脅威は従来、(イスラム組織)ハマスを含めたパレスチナの勢力ではなく、イランです。イランの軍事力から考えても、イスラエルにとって驚くべき攻撃だったとは思いません。むしろ米中央軍との緊密な連携が極めてうまくいったことを見ると、米国の強い意思を感じます。

イスラエルに勝手なことはさせない

 ――どういうことですか。

 ガザでの戦闘を見てわかるよ…

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2024年4月15日0時52分 投稿
    【視点】

    イランとイスラエルの軍事衝突という最悪のシナリオの可能性が出てきてようやく「イスラエルに絶対に勝手なことはさせない、というバイデン氏自身の強い意思」が表明された。もっと早くに期待したいものだったが、ようやくバイデンがこうした姿勢を見せたこと

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年4月16日10時43分 投稿
    【解説】

    確かにこのイランによる攻撃はゲームチェンジャーになる可能性はあるが、仮にゲームが変わっても、イスラエルがイランに対して出来る攻撃はミサイルや航空機を使った攻撃しかなく、イラン国内でCovert operation(破壊活動)をするということ

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