東海第二事故に備えた防災アプリ 避難ルートや放射線量を通知

張守男
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 茨城県東海村日本原子力発電東海第二原発で重大な事故が起きたときに備え、県は居住地に応じた避難ルートや放射線量などを住民に知らせるスマートフォンアプリ「いばらき原子力防災アプリ」の提供を始めた。

 避難計画の対象となる半径30キロ圏内の14市町村には全国最多の約39万世帯92万人が暮らす。ただ、5キロ圏内の住民はすぐに避難するが、5キロ圏外の住民はまず屋内に退避するなど、人によって避難先やルートが変わる。このためアプリが開発された。

 県原子力安全対策課によると、使い方はこうだ。まず自分のスマホにアプリをダウンロードし、住まいの地区などを登録する。さらに「避難方法は自家用車かそれ以外か」など示される項目を選んでいく。すべての登録が終わると、一人ひとりに応じた避難の情報が届くようになる。放射線量のデータも見ることができる。

 ただ、広域避難計画がまだ作られていない自治体に住む住民には「調整中」などと出ることになる。計画ができると新しい情報に更新される。平時は防災や避難に関する基礎知識などが配信される。

 現在提供されているアプリは、アップルの「iOS」を搭載したiPhoneのみ利用できる。グーグルの「アンドロイド」用は近日中に利用が可能になる。利用は無料。開発の事業費は約2500万円で、全額を国の交付金でまかなった。

 県の担当者は「正しい情報に基づいて行動するためにも、万が一に備えて登録してほしい。原子力災害の避難は複雑なのでワンストップで情報を提供していきたい」と話す。

 同様のアプリは、鳥取県鹿児島県などが提供している。(張守男)

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