東北大発のベンチャーが津波予報を開始 民間初、浸水地域予測も

福留庸友
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 【宮城】東北大が関わったベンチャー企業が、民間として初めて津波予報を出す許可を気象庁から得た。気象庁の予報とは異なり、地震直後に津波浸水域や浸水開始時間までも予測できる点に強みがあるという。

 このベンチャー企業は、東北大のほか、測量大手の国際航業、大手電機メーカーのNEC、緊急地震速報受信機を手がけるエイツーが産学連携で立ち上げた「RTi-cast」(仙台市青葉区)。東北大のスーパーコンピューターの「AOBA」を使って独自の予測をはじき出す仕組みを作り上げたという。

 予報では地震後20~30分で、予想される津波浸水域と域内の津波の最大の高さ、地域ごとの浸水開始時間を配信する。代表的な地点の水位変化も時系列で知らせる。

 配信先は現在、システムの検証で協力関係にあった縁で、高知県と沿岸19市町(高知市室戸市安芸市など)が対象になっている。

 予報システムを作った東北大の越村俊一教授(津波防災工学)は「被害地域を予測することで、素早く効果的な災害対応に結びつけられる」と利点を説く。

 システム上は離島を含め、ほぼ全国の沿岸地域の予報を提供できるとされ、越村教授は「予報を提供する範囲を他の自治体にも広げていきたい」と話している。福留庸友

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