店も品物も失った…輪島の漆器店、地震からの再起めざす伝統への思い

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三木一哉
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 能登半島地震で被災した石川県輪島市の朝市通り沿いにある「小西庄五郎漆器店」が、再起に向けた資金をクラウドファンディング(CF)で募っている。約250年続く老舗の蒔絵(まきえ)師、小西紋野(あやの)さん(40)は相模原市出身。「輪島塗は様々な職人技を結集させた工芸。職人の仕事を守り、なんとしても次代に伝承したい」と話している。

 2023年の大みそかも、紋野さんは夫の弘剛(ひろよし)さん(43)が9代目として守る店で普段通り働いた。元日は3歳と生後6カ月の子どもと4人で暮らす団地で大きな揺れに襲われた。家族は無事だったものの、停電と断水でその夜は車中泊。幼い子連れの避難所生活は厳しいと夫と話し合い、紋野さんと子どもたちは5日に相模原の実家へ避難した。

 夫の実家は母屋が焼失。4階建ての店舗兼倉庫のうち、1階に展示していた商品は紋野さんの作品を含め、全滅だった。ただ、地震直後に義父がとっさの判断で防火扉を閉めて避難したため、2、3階に保管していた営業用の見本椀(わん)や、亡き義母が整理していた史料は無事だった。紋野さんは「大切な品物が見つかるたび、ここであきらめたら後悔する、との思いが強まった」という。

「職人に再起してもらうために」

 漆器や蒔絵への愛情は深い…

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