街で見かける心配なあの子 落ちこぼれられない社会で家族は
小学校のある時間や夜中、所在なく外にいたり、よその家を突然訪ねたりする子を指す「放置子」というネットスラングがあります。虐待について取材してきたルポライターの杉山春さんは、この言葉は、子育てが家族に過剰に押しつけられている現状の表れだと指摘します。
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家族や児童虐待について取材してきました。この30年、子育てに使えるお金や時間などの資源は減ってきました。懸命に働けば正社員になり生活できる給料や社会保障を得られる、女性は専業主婦になれば一生食べられる、という時代は終わりました。1990年代を境に共働きと専業主婦世帯の数は逆転しています。
資源は減ったにもかかわらず、家族が子育てをしなければいけない、できるはずだ、というイメージは強まりました。2006年に教育基本法に「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」という文言が入ってから、じわじわと教育や子育ての現場が変わりました。
押しつけられる子育て
私は、神奈川県相模原市の団地で月2回、仲間と子どものための居場所も開いています。そこでは、夜8時になっても家に帰りたがらない子がいます。文字を書けない子も複数いました。それだけ大人の手が入っていない、家庭だけに任されているのです。
子育ての市場化も進みました…
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