閉館したホテルに届いた手紙 「5歳だった娘の遺品の箱の中から…」

有料記事いつも、どこかで

若松真平
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 3月下旬。関野祐智さん(59)は、閉館したホテルのフロントにいた。

 自身が社長として運営してきた「熱川温泉ブルーオーシャン」(静岡県東伊豆町)。

 2022年9月に経営を引き継ぎ、順調に赤字を減らしてきたが、黒字化はできなかった。

 設備が古く、水道代や光熱費は新しいホテルの倍はかかる。

 仕入れる食材は値上がりし、人手不足で人件費も高騰。

 やむなく、1月末でいったん閉館した。

 再開した時のために、建物のメンテナンスは欠かせない。

 閉館後も職員が常駐し、関野さんもあれこれと手続きをするためにホテルに顔を出している。

 営業はしていなくとも、郵便物は定期的に届く。

 請求書や、よくわからない会社からのダイレクトメール。

 そして、お客さんからの手紙。

 営業中は月2~3通が届き、感謝の声が多かったが、時にはお叱りもあった。

 「閉館を知ったお客様からの励ましの手紙かな?」

 そんなことを思いながら開封すると、便箋(びんせん)2枚に長い文章が書かれていた。

    ◇

 2023年8月に家族で宿泊…

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