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東京都、指名停止中の博報堂・電通と随意契約 計約13億円

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中村英一郎
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 東京五輪パラリンピックを巡る談合事件を受けて入札指名停止とした広告大手・博報堂電通に対し、東京都がその後、入札のない随意契約で計約13億3千万円の事業を発注していた。都は「他社に代替できない事業で法令上問題ない」と説明する。しかし、信用失墜行為を理由に入札から除外した企業と、入札を経ずに契約した点について、指名停止の実効性を疑問視する意見がある。

 両社は、東京大会の運営業務を巡って談合したとして独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で元幹部が逮捕されたり、法人が同罪で起訴されたりした。これを受け、都は2023年2月、要綱に基づき、社会的信用失墜行為にあたるとして他の4社とともに指名停止とした。期間は24年8月まで。

 一方、都入札情報サービスの公開情報によると、都は博報堂に対し、以前から放送している都提供の民放3番組の制作・放送事業を、23年3月、同9月、24年3月と計3回発注した。事業費は合計12億1千万円。番組ごとの内訳は、「東京サイト」(テレビ朝日)が1契約あたり約2億円、「東京GOOD!」「東京交差点」(いずれもテレビ東京)が合わせて同約2億円だった。

 都政策企画局によると、いずれの番組も都の魅力などを紹介する内容で、放送は週1~5回、1回3分ほど。視聴率は3%台。番組枠の買い付けやタレント契約、撮影、編集などを委託した。

 また、都は同社が開発した新型コロナワクチン接種記録システムの運用事業など3件も、23年3月に計約7千万円で発注(一部の期間短縮で計約5千万円に減額)。電通には、23年9月に、起業活性化を目的とした民放番組「TOKYO STARTUP DEGAWA」(テレビ東京、年2回、各1時間15分)の企画・制作を約5千万円で発注した。いずれも、特定の1社と結ぶ特命随意契約だった。

東京都は「代替できない調達に当たると判断した」と説明

 番組事業の発注について、都は取材に対し、関係する一部の著作権が両社に帰属している点や継続性などを理由に挙げ、国の政令で随意契約可能とされる「代替できない調達」に当たると判断したと説明。博報堂からは、事前に「この時間帯に提供番組を流すのは博報堂しかできない」と言われたとも説明した。番組放送は啓発などの点で有効と判断し、指名停止を受けた番組中止の検討や、他社への代替が可能かどうかの放送局への確認はしていないという。

博報堂や電通は、東京都以外でも指名停止とされていました。他の自治体はどう対応したのか、取材しました。会計検査院の元幹部にも見解を聞きました。記事後半で紹介しています。

 指名停止に関する都の要綱で…

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