対中抑止力とは 台湾の武力統一が「成功しないと認識させること」
聞き手 編集委員・奥寺淳
日米とフィリピンの3カ国首脳が11日、安全保障協力を進める新たな枠組みをつくることで合意した。海洋進出を強め、台湾統一への武力行使の可能性を排除しない中国に対し、「抑止力」を効かせる狙いがある。元駐中国防衛駐在官で、笹川平和財団の小原凡司・上席フェローに、この3カ国の協力枠組みの効果について聞いた。
――日米とフィリピンの3カ国による安全保障協力の枠組みには、どんな意味がありますか。
まず根本的な問題として、一国の安全は国際社会や地域の安全と密接に関係していることから、日本も自国の安全を単独では守れません。日米だけでも難しい時代に入っています。これまでは、米国と同盟国の関係は二国間を結ぶ「ハブ・アンド・スポーク型」でした。同盟国を米国がちゃんと防衛するというものでしたが、それだけでは難しくなりました。
これからの戦略では(日本やフィリピンといった)米国の同盟国間の横の協力を強めて、同盟のネットワーク化を図らなければなりません。それにより、戦争が起こりにくい状況をつくるのです。
中国は自らの発展維持の目的
――フィリピンと協力を深め…
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