「お荷物」だった全国初の洋上風車 20年後は過疎の町の「救世主」

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日浦統
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 海上の巨大な風車で潮風を集めて、タービンを回して電気をつくる「洋上風力発電」。その発祥の地が北海道にある。渡島半島のせたな町。国内初の洋上風車は今月、稼働から20年の節目を迎えた。火力発電所の構想もあった町はいま「風力の町」にかじを切った。主導してきた高橋貞光町長(73)を訪ねた。

 強烈な北西の風が吹いていた。瀬棚港の湾内にある2基の洋上風車が日本第1号の「風海鳥(かざみどり)」だ。高さ64・2メートル。岸壁からでもその大きさが実感できる。

 「秋から冬は北西、春から夏は東南東の風が吹くので、トップクラスの発電効率です」。高橋氏はこの地が風力発電の「適地」であることを強調した。港を吹き抜ける風の平均風速は秒速7・1メートル。風力発電の目安となる同5メートルを上回る。

 人口7千人弱。農業と漁業の町に、洋上風車の誘致が持ち上がったのは1985年。港が旧運輸省からケーススタディー港の全国第1号に指定されたのがきっかけだ。

 「瀬棚港マリン・タウン・プロジェクト」と銘打ち、防波堤と風車を建設し、風力エネルギーを活用して深層水をくみ上げて養殖に利用するといった構想が描かれた。

 陸地から離れており、低周波

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