本屋大賞「成瀬は天下を取りにいく」 作品舞台の大津から喜びの声

仲程雄平
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 今年の本屋大賞に、宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)が選ばれた。小説の舞台は大津市。地元からは喜びの声が上がった。

 JR膳所駅には、「ようこそ! 成瀬の住むまち、びわ湖大津へ!」というメッセージが書かれた看板が1日から設置されている。主人公の成瀬あかりらの絵も看板に描かれている。

 10日午後、地元のまちづくり協議会のメンバーらが看板の前に集まり、受賞を喜んだ。小説に登場するプロ野球・西武のユニホームを着た吉村和代さん(43)は「勇気を頂いた。先生を応援しつつ、私たちも地域活性化をがんばりたい」。

 著者の宮島さんは大津市在住。物語には、2020年に閉店した百貨店「西武大津店」や琵琶湖の観光船「ミシガン」などが登場する。本は売れ行き好調で、今年1月には続編「成瀬は信じた道をいく」を出した。

 地元は「成瀬人気」に注目。ミシガンを運航する琵琶湖汽船は続編刊行を記念し、作品にちなんだ特典やプランを用意したキャンペーンを5月6日まで行っている。担当者は「(ファンがゆかりの地を巡る)『聖地巡礼』で、ミシガンに乗船する人が増えている」。

 県は6月末まで、ゆかりのスポットを巡るデジタルスタンプラリーを開催中。今月から始めたが好評だという。三日月大造知事は「受賞を機に、滋賀の魅力がさらに広まり、地域の魅力向上や観光の振興につながっていくものと期待している」とのコメントを出した。(仲程雄平)

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    安田峰俊
    (ルポライター)
    2024年4月13日6時44分 投稿
    【視点】

    「成瀬」は、西武大津店、ミシガン、うみのこ、膳所高、京阪浜大津線、琵琶湖放送(の特定の番組)…と、異常なほどローカル成分が濃い滋賀県南部の固有名詞が山ほど出てくる作品です。 私は地元出身(とはいえ、作中でも言及されるように、住民が西武にわ

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