神宮外苑再開発、高木伐採は東京都知事選の後? 遅れる樹木保全策
東京都心で親しまれてきた緑地の破壊だとの批判がある明治神宮外苑地区(東京都)の再開発を巡り、事業者側からの樹木保全策の提出が遅れている。案の作成を求めてきた都側が了承すれば高木の伐採開始に近づくことになるが、7月の都知事選で再開発の可否を争点化する動きもあり、伐採時期が選挙後まで先延ばしされる可能性も取りざたされている。
再開発計画は、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を変えて建て替え、さらに超高層ビル2棟を新築するというもの。事業費は約3490億円。三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の民間4事業者が昨年3月に着工したが、同9月、開始直前だった高さ3メートル以上の木の伐採作業が止まった。環境影響評価(アセスメント)の手続きの流れで事業者が「検討する」としていた樹木保全の具体策を、伐採開始前に示すよう都が求めたからだ。
再開発計画では、1904本ある3メートル以上の高木のうち、743本を伐採、275本を移植する一方、837本を新たに植えるとしている。これによって「開発後の樹木は1998本になり、緑は増える」と事業者側は説明しているが、反発は強い。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関「イコモス」の国内委員会は、「貴重な生態系の破壊」「樹齢100年を超す樹木がなくなる」などと主張する。
さらに議論となっているのが、外苑の代表的景観となっている146本のイチョウ。1923年にできた高さ約30メートルにも達する4列の並木は、伐採はされないが、新球場建設による生育への悪影響が懸念されている。
イコモス本部も計画撤回を求めるなど反対意見が収まらない中、都は昨秋、環境アセスの枠内での見直しを求めた。都幹部は「示すと言った樹木保全策が出ていない中で、伐採を行うのは適切ではない」と話す。
ただ、再開発計画の施行は2…