「東京の山を元気に」 工学院大生が多摩産材で校内に木造建築

森治文

 工学院大学の八王子キャンパス(東京都八王子市)で8日、多摩産の木材を使って学生たちがつくった倉庫が完成した。木造建築を学ぶとともに、木材の地産地消を進めることで、山林の手入れの促進や林業の振興を図るねらいだ。

 建築学部がある同大は、2017年に檜原村の林業会社「東京チェンソーズ」と協定を結んで木材を購入。同キャンパスで、老朽化したプレハブの倉庫などを順次、木造に建て替えるプロジェクトを進めてきた。学生たちは、林業や製材の現場を訪ねるなど、「補助金なしでは成り立たない林業の現実や、多摩をはじめ国産材を使う意義などを学んできた」(後藤治理事長)という。

 今回完成したのは5棟目で、体育用具を入れる広さ47平方メートルの倉庫。同大を卒業した建築家の監修のもと、1~2年生の学生が、船を思わせるような流線形で和風の建物を設計した。また、木を余すところなく使うというチェンソーズの方針に共鳴し、市場価値がさほどない曲がった木材も工夫をこらして活用。4カ月近くかけ、約20人がかりで完成させた。

 国内のスギやヒノキの人工林は、安価な輸入材に比べて伐採や手入れの費用がかさむことから、放置されがちなのが現状だ。林業はすたれ、日が差し込まない山林は低木などが根を張らず、大雨で土砂が流出する事態も起きている。

 今回の施工のリーダーを務めた現3年の森田遥大(はると)さん(20)は「木造建築の伝統がある日本の林業をこれからも支援していきたい」。チェンソーズの青木亮輔社長は「建築と関係のない学生も、木造の建物に触れ、木の良さを知ってもらえたらうれしい」と話した。(森治文)…

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