熊本地震前後の布田川断層標本が防災センターに 並べて展示は世界初

杉浦奈実

 2016年の熊本地震で動いた布田川断層のはぎ取り標本が、地震前の断層の標本と並んで熊本県防災センターに展示されている。熊本大学などによると、地震前後で断層の同じ地点を掘った調査は世界で3例目と珍しく、標本を比べることができる展示は世界で初めてだという。

 地震後の標本は高さ約2.4メートル、幅2.6メートル。23年に熊本大と東北大が益城町の断層を共同調査してつくり、3月28日にお披露目された。標本の右上から斜めに断層が走る様子が観察できる。県が1996年に同じ地点で調査した標本を保管しており、二つの標本を比べながら熊本地震で実際にどんな変化があったのか調べている。

 調査に参加した熊本大の鳥井真之特任准教授(地質学)によると、この付近では地震により40センチ程度のずれが生じていた。活断層と考えられていたところが実際に動いていたことが確認できたという。

 鳥井特任准教授は「多くの人に、活断層がどういう物なのか、目の前で見て考えてもらいたい。並べて見られるというのは研究上の意義も大きい」と話した。(杉浦奈実)…

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