ベトナムの戦時下とその後を記録 東京で桑原史成さん写真展

小林正明
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 「ベトナム戦争の終結から半世紀」と題した写真展が30日まで、東京都千代田区丸の内3丁目の丸の内フォトギャラリーで開かれている。報道写真家の桑原史成さん(87)が撮影した57点を展示。桑原さんは「若い人たちに、こういう戦争があったことを伝えたい」と話す。

 水俣病患者や軍事政権下の韓国での民主化運動などを記録し続けた桑原さんが、ベトナム戦争の写真を撮るきっかけは韓国での取材中だった。1965年から韓国はベトナムへ本格的な派兵を始めた。次々にベトナムに渡っていく兵士たちを見て、「避けて通れない道」という思いで自らもベトナムへ取材に行く決意をしたという。

 費用を工面してようやく実現した67年以降何度もベトナムに渡り、南ベトナムの首都だったサイゴン(現ホーチミン)を中心に活動した。

 桑原さんは戦時下の都市や農村の人たちに目を向けた。戦闘で負傷した市民や、米軍や南ベトナム政府軍と戦う解放戦線の兵士や協力者らも撮影。取材を続ける中で、南ベトナムの支配地域でも郊外の農村では解放戦線をほとんど悪く言わないと気づいた。貧富の差が広がり、役人が腐敗した南ベトナムの現実が、解放戦線への支持につながっている印象を受けたという。

 75年にサイゴンが陥落し、南ベトナムは敗北。資本主義から社会主義に体制が変わり、困惑する若者たちの姿もフィルムに収めた。

 今回の写真展では、そうした様子を記録した未発表写真も展示している。

 写真展は、月~金曜日が午前8時~午後8時、土曜日は午後5時まで。日曜日と祝日は午後5時まで、警備員に声をかければ見ることができる。問い合わせは快晴堂フォトサロン(090・1035・3382)へ。(小林正明)

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