リニア山梨県駅の完成は31年に JR東海、工期長期化の見通し示す

米沢信義
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 リニア中央新幹線山梨県駅(甲府市)について、JR東海は4日、2024年度中に工事契約し、完成は31年となる見通しを明らかにした。昨年12月、東京・品川―名古屋間の工事完了時期を「2027年」から「27年以降」に変更し、工事計画を見直した結果、想定よりも工期が長くかかる見通しになったという。

 同社は先月29日、南アルプストンネル静岡工区の着工ができていないことを理由に、27年の開業を断念する方針を明らかにした。早くても34年以降になる見通しの品川―名古屋間の開業時期には影響を及ぼさないという。

 発表によると、4~9月に駅工事の発注公告などの手続きを進め、今年度中に業者との契約をめざす。着工は早くて今年度末となる見込みで、工期は6年8カ月。広報担当者は「昨年12月の時点では、もっと短い工期を想定していた。人手不足や資材の高騰などを考慮して合理的な工期を再考した結果、当初より長くなった」と説明した。

 駅周辺の整備では、北口は県が中心となり、交通広場やパーク&ライド駐車場などを整備し、南口は甲府市がまちづくりを主に担当する。

 山梨県の長崎幸太郎知事は「開業時期については27年を大きく超えることは残念」としながら「開業時期に左右されず、スマートICや周辺道路の整備を進めるなど、地域の価値を高める取り組みを進めていく」とコメント。樋口雄一甲府市長も「駅舎建設の新たな計画が公表されたことで、地域の期待も高まる」とコメントした。

 リニア駅周辺の住民らでつくる大津町地区開発対策協議会長の横谷英臣さんは「静岡の状況を考えると駅完成の遅れはやむをえず、驚きはない」と冷静に受け止める。「それより工期日程が明らかになったことは前進なので、今後のまちづくりに注目したい」と語った。(米沢信義)

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