発電所維持費の負担開始 地域新電力、半数以上が「電気料金に反映」

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安田朋起 編集委員・石井徹
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容量市場、4月から実運用開始

 将来の電力不足を防ぐため、電気を売る小売電力会社が、発電設備の維持のために発電会社に対価を払う制度の実運用が、4月から始まった。発電設備を持つ大手電力は収入が見込める一方で、発電設備をほとんど持たない新電力には新たな負担が発生する。朝日新聞などが地域新電力に調査したところ、半数以上が「電気料金に反映する」と答え、負担が増えない大手電力との不公平感を訴える。

 2016年の電力小売り全面自由化により、各地域の大手電力10社以外も、家庭や企業に電力が販売できるようになった。これ以降、他業種から参入する「新電力」が増えた。一方、低価格競争が進むと、新たな発電所建設が進まなくなる恐れがある。そのため、発電量ではなく4年後の発電所の能力に値づけして入札し、それで得た費用を発電所の建設・維持費にあてる「容量市場」という制度ができた。

 入札は、電力広域的運営推進機関の管理の下で、4年前の2020年から毎年行われ、4月から初回の支払いが始まった。初回の落札量は日本の発電設備容量の半分にあたる約1億6千万キロワットで総額約1・6兆円。大半は「拠出金」として小売電力会社が負担する。

地域新電力、116社に影響調査

 地域振興や脱炭素化の担い手として期待される地域新電力への影響を探ろうと、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組む環境NGOでつくる「パワーシフト・キャンペーン」と朝日新聞が調査を行った。今年1~3月、自治体が資本参加するなど地域との関係が深かったり、再エネ拡大に力を入れていたりする全国の地域新電力116社に質問し、75社から回答(回答率65%)を得た。

 地域新電力に新たな負担とな…

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