旧駅舎模した交流施設オープン 田丸駅新駅舎、玉城町が整備

佐藤孝之
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 三重県玉城町のJR参宮線・田丸駅で3日、町が整備した新しい駅舎のオープニングセレモニーがあった。1世紀以上の時を刻んだ旧駅舎を模したデザインで、待合室の隣に交流スペースを設けた。町は「多様な人々が気軽に集い、つながる場」となることを期待している。

 旧駅舎は1912(大正元)年に建てられた。瓦ぶきの木造平屋で町民に親しまれ、故小津安二郎監督の映画の撮影にも使われた。だが老朽化でJR東海が昨年解体。簡素な駅になる予定だったが、町が跡地を借り、駅舎を兼ねた交流施設として整備した。総事業費は約7300万円に上る。

 新駅舎は旧駅舎と同じ瓦ぶきの木造平屋で、特徴的だった朱色の柱も再現。旧駅舎の「田丸駅」の看板はそのまま使い、木製の扉やれんがの一部なども再利用した。

 交流スペースにはテーブルやイス、デジタルサイネージ(電子看板)などを設置。イベント開催などの使い方も想定している。当面はジオラマ作家の寺田成紀(しげき)さん(34)=堺市=から昨年寄贈された旧駅舎のジオラマなどを展示している。

 2012年から無人駅になっているが、交流スペースの隣に観光協会のスタッフが常駐する事務所を設け、「有人化」も実現した。

 セレモニーで辻村修一町長は「大正、昭和、平成、令和と歴史を刻んできた田丸駅を何とか残したいという思いをJR東海さんが、聞き入れてくれた。町の情報発信や交流の場として活用していきたい」と語った。(佐藤孝之)

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