台湾で震度6強 専門家、地震繰り返す場所「周辺のひずみほぼ破壊」

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 3日午前8時58分ごろ、台湾東部付近を震源とする強い地震があり、日本国内でも沖縄県に一時津波警報が出された。日本の気象庁によると、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・7と推定される。

 この地震の特徴について、東京大の平田直名誉教授(地震学)は、太平洋側のフィリピン海プレートと大陸側のユーラシアプレートの境界で起きた地震と説明する。震源の深さが23キロと浅かったため、沖縄にも津波が到達したという。

 平田さんは「台湾の島そのものが地殻変動で出来たところで地震活動も活発な場所。これまで台湾東部で発生してきた地震と同じ仕組みによるものと考えられる」と話す。

 筑波大の八木勇治教授(地震学)は、地震の揺れを簡易解析した結果として「津波が大きくなりにくい地震だったのではないか」と指摘する。今回の地震は、断層を両側から押すような力が加わって起きたもので、断層の東にある海側が、陸地側に乗り上げる「逆断層型」だった。ただ、「震源は海側だが、せりあがっていく断層の出口は陸側にある。そのため津波は大きくなりにくい状況だったのではないか」という。

 今後については「今回の地震は、この地域で(地震のエネルギーとなる)ひずみが蓄積されていた領域をほぼ全て破壊したとみられる。津波など日本に影響を及ぼすような地震が今後も頻発するとは考えにくい」と話した。

 東北大学の今村文彦教授(津波工学)は「台湾は地震が繰り返し起きてきた場所だが、ここ近年の地震は、津波を伴うものではなかった」と指摘する。今回の震源となった台湾東部では繰り返し地震が起きてきたが、地震の規模を示すマグニチュードはおおむね7以下で、今回は「地震の規模が一段階大きかったことがまず津波を起こした要因」と話す。

 さらに、地震の断層の場所が、沿岸部であったことも津波を引き起こす要因になった。ただ、断層は台湾の陸地と海域にまたがっていて、今村さんは「マグニチュード7・7の地震の断層の全てが、海域だったらもっと津波の高さは高くなり、沖縄で観測された30センチ以上の被害が出ていたかもしれない」とし、「ちょっとした位置の違いから、最悪のケースにはならなかった」と見ている。

 今回の地震で、気象庁は速報値として地震の規模をマグニチュード7・5と発表。その後7・7に引き上げた。今村さんは「マグニチュード7を超えた時点で、津波の発生を考える目安になる。今回は最初の段階で7・5だったので、津波警報を出したのは妥当ではないか」と話した。

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