自民党裏金めぐり、処分対象に吉野氏と菅家氏 不満の声も

酒本友紀子 岡本進 西堀岳路
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 自民党派閥の裏金事件をめぐり、党は39人を処分対象とすることを決めた。処分は4日に決定する予定で、内容次第では、次の衆院選の情勢に大きく関わってきそうだ。

 党は過去5年間の政治資金収支報告書への不記載総額が500万円以上となる議員らと、一部の安倍派幹部を含む39人を処分対象とした。福島県選出では、吉野正芳氏(75)=衆院福島5区=と菅家一郎氏(68)=衆院比例東北=が該当する。

 2022年までの5年間の還流額が1289万円だった菅家氏。処分の線引きである500万円を大きく上回るが、政治資金収支報告書には自身の寄付として記載したと繰り返し説明してきた。取材に対し「派閥から『書くな』と言われてやむなく個人名を書いた。私の場合は『誤記載』。不記載の議員たちと同じ扱いになるのは不満だ」と話す。

 「党員資格の停止」や「選挙の非公認」といった処分が下れば、次期衆院選への影響は必至だ。菅家氏は、2日に党紀委員会に対して弁明したといい、「党本部が出した結果は受け止めるしかない」と話した。

 吉野氏の過去5年間の不記載額は660万円に上る。吉野氏の事務所は取材に「党から通知が届いたばかり。本人はタッチしておらず、知らないことだったが、我々は厳粛に受け止めている。(処分の)結果が出たら、本人のコメントを出す」と話す。

 吉野氏をめぐっては、次の衆院選の福島新4区に立候補するのかどうか、昨年来から公認問題がくすぶったままだ。このため、党の党紀委員会の処分審査対象者となり、何らかの処分が下される可能性が強まったことで、問題の決着が早まるのではないかとの見方も出ている。

 新4区の党の公認候補となる支部長には吉野氏が就いているものの、健康面を不安視する声が地元には根強い。党関係者によると、県連会長の亀岡偉民氏=衆院比例東北=が裏金問題で、党所属の県内の全国会議員に聴取しようとした際にも、吉野氏だけには接触できなかったという。吉野氏の後援会幹部も「体調面から本人に長らく会えていない」と明かす。ただ、吉野氏自身はこれまで引退を否定している。

 ある県連幹部は、公認問題の難しさを、こう漏らす。「4区の問題は早く決着させたいが、政治家の出処進退に口は出せない。公認権をもつ党本部の決断を待つしかない」(酒本友紀子、岡本進、西堀岳路)

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