北上する桜前線 大船渡で独自の開花宣言、盛岡では「祈りの桜」登場
【岩手】春らしい陽気が続き、桜前線が北上している。仙台市では2日、開花宣言がされた。岩手県内でも同日、大船渡市が独自に開花宣言をするなど、沿岸を中心に桜が咲き始めている。
大船渡市は、市民体育館の敷地にあるソメイヨシノを標本木にして、毎年独自で開花を観測している。この木は東日本大震災で津波を被ったが、震災の年も開花した。
沿岸中部の大槌町では、すでにあちこちで早咲きの桜が開花している。町役場前の斜面に自生する桜も満開を迎え、職員や訪れる人々の心をなごませている。
開花がまだの盛岡市。同市みたけの「きもの 織絵屋」の店頭では、ソメイヨシノより一足早く、「祈りの桜」が登場した。
「あきらめないで」「ウクライナとガザ地区の子どもたちに笑顔を」「数年前に能登半島の千枚田を訪れました。早くあの景色が戻りますように」
元日に発生した能登半島地震の被災地への応援や、戦争が続くウクライナやガザ地区での平和を願った花びら形のメッセージカード約200枚で、「満開」を迎えた。
松山和年社長(69)が顧客に対して呼びかけ、これまで約100人がメッセージを寄せた。松山さんは「災害や戦争のニュースにふれるたび罪悪感や無力感を抱く人は少なくない。過酷な状況にいる人々への思いを共有し、メッセージを読んだ人が少しでも前向きになってもらえれば」と語る。ゴールデンウィーク明けまで飾られており、店に立ち寄った人がメッセージを書き加えることもできる。
日本気象協会は2日現在、ソメイヨシノの開花を以下のように予想している。盛岡市では昨年より6日遅い9日、4日から「さくらまつり」が始まる北上市の北上展勝地では昨年より8日遅い11日、武家屋敷通りや川沿いの桜並木で全国的に知られる秋田県仙北市角館では20日。(伊藤恵里奈、東野真和)