第3回複雑さ増す女性器切除問題 ケニアの識者が指摘する「問われるもの」

有料記事慣習のジレンマ 女性器切除(FGM)のいま

聞き手・今泉奏=ナイロビ

 アフリカなどに古くから慣習としてある女性器切除(Female Genital Mutilation=FGM)が、グローバルな健康上の問題として注目度を高めている。アフリカから欧米に向かう移民が増え、先進諸国でこの問題が「再発見」されるかたちになっているためだ。欧米で話題を集める女性器の「美容整形」とFGMとの「違い」をめぐる議論も起きている。その背景を、ケニアのアムレフ国際大学のタマリ・エショ教授(生物医学)に聞いた。

 ――FGMは、どのようなものなのでしょうか。

 多くの社会で女性の「割礼」(circumcision)と認識されています。しかし私は、人権侵害の側面があるとみなしているため「切除」という言葉を用いています。

 ――FGMにはどんな形態があるのでしょうか。

 主に4種類です。タイプ1は、クリトリスおよび、その包皮の一部か全体を切る。タイプ2は、クリトリスと小陰唇の一部、または全部の切除。最も深刻なタイプ3は、切除に加え、陰部の縫合をともないます。

 ケニアでは、約85%がタイプ1か2で、残りがタイプ3になります。

「西洋ならいいのに、アフリカはダメなのか」。西洋中心の価値観がゆらぐ今、こんな問いが提起され、その答えはますます難しくなっている。その背景について、タマリ教授が語ります。

長期的なトラウマになることも

 ケニアで最も深刻なのは北東…

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